「1度飲んだら忘れられない」コスタリカのコーヒーの味とは?
「1度飲んだら忘れられない」コスタリカのコーヒーの味とは?
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それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
「コスタリカ」と聞いて、どんな国をイメージしますか?「武蔵小杉駅」から歩いて5分ほど……川崎市立小杉小学校の前に、コスタリカ珈琲豆直輸入販売の焙煎店「豆こねくと」があります。
店長の高橋正行さんは、31歳。正行さんがコスタリカと関わりを持ったのは、高校生のときでした。
クラスの仲間と馴染めず、進学のことでも悩んでいた正行さんは、外国に興味があったことから高校生の留学制度に応募します。第一志望はアメリカ、第二志望はフランス、第三志望はコスタリカ。
「留学生の体験談に、中南米のコスタリカは自然が豊かでのんびりしていて、せかせかしない、日本とは全く逆の国……そんな記事が載っていて、第三希望にしたら決まっちゃったんです」
驚いたのは正行さんの両親でした。「我が子がジャングルかアマゾンに行ってしまう」と思ったそうです。
正行さんはコスタリカの一般の家庭でお世話になって、公立高校に通いました。公用語はスペイン語。最初に覚えた言葉は「テンゴ・アンブレー」(お腹が空いた)でした。
授業は、英語と数学が何となく分かるだけ。体育はいつもサッカーで、みんな驚くほど上手い! 話もできない、サッカーも下手、そんな日本から来た留学生にクラスメイトは意外なほど優しく、すぐに仲間に入れてくれました。
「普通の公立高校だったので、なかには不良っぽい学生もいて『マサユキ、授業をサボって遊びに行こうぜ!』と誘ってくれて、3ヵ月も経てば何となく言葉が分かるようになりましたね」
たった1年の留学でしたが、コスタリカの優しさに触れて、正行さんは生まれ変わって帰国します。その後、大学に進学、さらに大学院へ進み、スペイン語圏で仕事がしたいと、28歳のときにアルゼンチンの大学へ2年間、日本語教師として赴任します。
大学は長い夏休みがあります。それを利用して、バスを乗り継いで南米を北上し、最後に目指したのが10年ぶりのコスタリカでした。街並みもクラスメイトも、あの日のまま……10年が経っても、友の笑顔と優しさは変わりませんでした。
久しぶりのコスタリカで、どうしても飲みたいものがありました。それは留学していたとき、お世話になった家で朝と夕方に必ず出されたコーヒー。あの味が忘れられなかったんです。
「コスタリカのコーヒーは、まるでコスタリカの人みたいに優しくて濃厚で、1度飲むと忘れられない味なんです」
帰国後、コーヒーの焙煎技術を修行し、バリスタの資格を取得した正行さんは、去年(2019年)12月に「豆こねくと」をオープン!「こねくと」とは「つながる」の意味。コスタリカのコーヒー農園と日本のお客さんを、仲介業者を通さず、おいしいコーヒーでつなげたい。そんな意味が込められています。
「豆こねくと」は、自家焙煎によるコーヒー豆の販売が中心です。注文を受けてから、丸い筒のロースターにコーヒー豆を入れ、窯の熱でローストします。ロースターが回転すると、シャカシャカ! と豆が転がる音。水分が抜けるとシャンシャンと音が変わり、そのうちポップコーンのようにポンポン! と弾ける音。「深煎り」の注文なら、チリチリと油分が出る音まで待ちます。
正行さんはお客さんの注文に応じて、耳と目と香りで焙煎するそうです。焙煎にかかる時間は10分ほど。お客さんは無料のサービスコーヒーを飲みながら待っています。
お店はカフェスペースもあって、正行さんが淹れる挽きたてのコーヒーを求め、常連さんも増えて来ました。最後に「コスタリカ」とはどんな意味なのか正行さんに聞くと、
「コスタは海岸、リカは豊か……『豊かな海岸』という意味です。人も自然も豊かなコスタリカで栽培されたこのコーヒーを、日本に広めて行くのが僕の使命だと思っています」
コスタリカ珈琲豆 直輸入販売「豆こねくと」
住所:〒211-0063 神奈川県川崎市中原区小杉町2-294-6 南部メゾン102
電話:044-322-8255
営業時間:11:00 ~ 19:30
定休日:月曜日・木曜日
上柳昌彦 あさぼらけ
FM93AM1242ニッポン放送 月曜 5:00-6:00 火-金 4:30-6:00
朗読BGM作曲・演奏 森丘ヒロキ